「仏教の教え」 日本人のための宗教原論~ぽかぽか落語~

こんにちは


おや、誰かと思ったら八っつぁん


あの、隠居さんは物知りだから、仏教の教えとは何なのか。これを教えてもらいたいと思ってきたんですけどね。


ほ?、仏教の教え、つまり(ほとけ)仏の教えだな。いいよ、いいよこっちにお上がり。


お邪魔します。


それじゃぁ、お前聞くがな、仏教は誰の教えか分かるか?


そんなの分かりますよ、孔子でしょ。


お前~本当に言ってるのか。


孔子じゃないんですか?それじゃ~孟子ですかね、それとも荀子ですかね?


どんどん離れてってるよ~。ヒントを出してあげようか?


ヒントください。


ヒントは釈迦ではない。


お釈迦さまじゃないんですか~。お釈迦様って、AKBみたいに、グループってないんですかね?かぐらじゃかとか、のぎじゃかとか、クラスで一番かわいいお釈迦様。


お前~成仏できなくなるぞ~


それより。仏教の教えは、孔子でもなく、孟子でも、荀子でもない。ヒントは釈迦の教えでもない。そんなはずないでしょう。冗談はよしてくださいよ。


冗談だと思うのか。


思いますよ。だったら安倍総理の教えですか?


そんなわけ、ないだろ~


じゃあ、あべのなかまろ


あべのなかまろは~、空海より少し前に、中国におもむき、世界三大美女の楊貴妃がきさきでおなみじの、玄宗皇帝時代の唐の長安で、国家試験に合格し、官僚をつとめていた日本人だ~。


じゃあ、仏教は、やっぱりお釈迦様の教えじゃないんですか?


仏教は「お釈迦様の教え」なのか。それは「大きな誤解」だ。たしかに、「創始者はお釈迦様」。しかし、仏教の教えはお釈迦様が「考案したものではない」こういうわけなんだ。


じゃあ、公安委員会が考案したんですか?


お前~、適当なことをいうんじゃない~。公安委員会は警察の民主的な運営と政治的中立性を確保するために、警察を管理する行政委員会だ。お前~、本筋と全然関係ない話をさせないでくれ~。


「創始者はお釈迦様」だけど、お釈迦様が「考案したものではない」ということは、お釈迦様の裏にブレーンがいたということですか?。お釈迦様は客寄せパンダで、陰で操っていた人物がいる


そうゆうことではないんだ~


じゃあ、誰の教えなんですか?


では、分かりやすく説明するために。キリスト教は誰の教えか分かるか?


はは、そんなのキリストでしょう。それともパウロですか?


お前からパウロという言葉がでるとは~


正解ですか?


答えは神の教えだ。


え、キリスト教は神様の教えなんですか?


そうだ。神様の教え。そうゆうことになってる。


ん~ん~(笑顔)そうゆうことになってる?そんなこと言っていいんですか?


だめだったら、このYouTubeをひっこめる。


そうですか。


じゃあ、ユダヤ教は誰の教えだ?


分かりませんね。旧約聖書ってのは聞いたことありますけど。


お、えらい、実はどちらも神の教えなんだ。ユダヤ教も、キリスト教も、イスラム教も。同じきょうてん。同じ旧約聖書。キリスト教は新約聖書。イスラム教の啓典コーランには同じエピソードがでてくる。だから神様も同じ神様を信仰しているんだ。ところが言語が異なるから読み方が異なる。ヤハウェ、ゴッド、アッラーとこう呼ばれるんだ。


ヤハウェ、ゴッド、アッラーですか。同じ神様だったんですね。言語が異なるんですね。ヤハウェ、ゴッド、ときて、アッラーです。あっらーって感じですね


ところで、仏教の念仏なんだが、「南無妙法蓮華経」「南無阿弥陀仏」どちらも、「南無」から始まる。「南無」とは「私はきえします」という意味だ、「きえ」とは「よりどころにする」という意味だ。キリスト教で「私は神を信じる」とあるが、「南無」とはそれと同じで「私はきえします」とは「ibelieve」だ。「南無妙法蓮華経」はi

believe ほけきょう。ほけきょうをよりどころにするということで、きょうてんのお題、つまりお題目を唱えているんだな。


「南無妙法蓮華経」は、「南無」と「妙法蓮華経」。「妙法蓮華経」とは、ほけきょうというきょうてんですね。「妙法蓮華経」とつまりお題目を唱えてるということですね。お題目がほけきょうなんですね。


そうだ。「南無阿弥陀仏」はibelieve阿弥陀様。つまり仏の名前、仏名を唱えているんだ。阿弥陀様というのが、「お釈迦様より偉いほとけ様」。考え方として阿弥陀様とお釈迦様には師弟関係にあるんだ。


「南無阿弥陀仏」は阿弥陀様という仏の名前、仏名を唱えているということですね。


そうだ。お題目を唱えてる、仏名を唱えている、こういう違いがあるんだ。どうだ、面白いだろ!


ん~。いや、そんなにです。それじゃあ隠居さん、仏教は阿弥陀様の教えなんですか?それとも神様の教えなんですか?


答えはな、「誰の教えでもない」こういうことだ。


あ~、誰の教えでもないんですか~


そうだ。仏教は思想ではないんだ。


仏教に思想はな~い。じゃあ歯磨きの必要がな~い。


そのしそうではない。キリスト教は神様の思想だな。 仏教はな、そうではなくむしろ、科学に近いものなんだ。たとえば万有引力の法則はニュートンが発見した。


それ聞いたことありますよ。


これは発見しようとしまいと、元々存在するものだ。つまり、宇宙が作られたときから存在し、アダムとイブの時代から、リンゴは木から落ちた。地面に落ちた。


たしかにそうですね。アダムとイブって誰ですか?


お前~、そんなのも知らないのか。どんどん話がそれていくな。さっさと説明するがアダムは神様がつくったんだ。イブはアダムのあばらぼねから作ったんだ。


あばらぼねから。イブは作られたんですか。アダムはあばらがとれても大丈夫なんですかね?あばらたりしないんですかね?


あばらだけにあららって感じだな


隠居さんも、あららって感じですね。あばらぼねから。イブは作られたとか、面白いですね。


事実は落語と同じくらい奇なりだ。


隠居さんも面白いですね。


それが面白いんだったら、日本の古事記なんて、「いざなみといざなぎが最初に作った子供は、今の淡路島」。こう書いてある。


は?。隠居さんは物知りですね。


おーなんでも知ってるよ。知らないということも知らないね。というより。知らないということを知ってるね~。


あ~、よくわからない~。


話をさっさとすすめたいんだが。アダムとイブにだな。神様は「お前たち~りんごを食べたらいかんぞ~」と言ったのに勝手に食べた。そしたら二人とも裸でいるのが恥ずかしくなった。いちじくの葉で股間を隠すようになった。神は「お前たち~りんごを食べただろ~」と言った。そして楽園から追放した。二人を祖先とするのがノアだ。ノアは嵐の予感がして、動物たちと箱舟で逃げた。その時の動物たちはおすとめす、そう、についで連れて行った。ついた先がパレスチナ。今のエルサレムだ。ノアを祖先とするのがアブラハムという男だ。ちなみに、アブラハムの正室の子がユダヤ人、側室の子がアラブ人だ。


へ~。ユダヤ人とアラブ人の祖先が同じなんですね。それにしてもアブラハム、面白い名前ですね。アブラハムって、油が多いハムですか?ももにくと間違えて、ばら肉使ったんですか?あぶらハムってベーコンですよね?


ん~


あばらとか、アブラとか。旧約聖書は面白いですね。


旧約聖書も面白いかもしれないが、古事記やギリシャ神話も面白いぞ~。どちらも多神教で、たくさん神様がいるからおもしろい。ちなみに、立川談志師匠は、暇つぶしで中東に落語をしに行った。「アラブでアブラをうったのは俺だけ」こう言ったな。


ちょと、これ以上教祖様の名前を出さないで下さい。立川流家元にはたくさん信者がいるんですから。


そうだな。アブラハムは神と契約をした、パレスチナの土地はユダヤ人の土地であると。


え、パレスチナの土地はユダヤ人の土地であると神はいったんですか。じゃあ、アラブ人とけんかになりますね。


そうだ、イギリスの八方美人外交だけではなく、ユダヤ人において神との契約は絶対。これがパレスチナ問題の一番のややこしいところなんだ。神との契約を破ると殺されてしまう。


ユダヤ教や、キリスト教のやみを感じますね。


お前もそんなこと言って大丈夫なのか?


一句思い付きました。


何だ?


正月は、釈迦に孔子に、エルサレム


難しい~。ニュートンの話に戻っていいかな?


お願いします。


ニュートンは、りんごが落ちるのを法則という形で示した。

仏教におけるお釈迦様の役割も同じで、法則という形で示した。

菩提樹のしたで、お釈迦様はすべてを貫く道徳法則を発見した。


すべてを貫く道徳法則ですか~。気になりますね~。


すべてを貫く道徳法則とは、

人はなぜ生まれるのか。

人はなぜ年をとるのか。

人はなぜ病気になるのか。

人はなぜ死んでしまうのか。


もともとお釈迦様はインドの王様の子供、王子様だった。生まれたときに天と地を指さして一世一代の名台詞。「(てんじょうてんがゆいがどくそん)天上天下唯我独尊」と言ったんだ。


へ~生意気ですね。


そうだ、だからまわりの人から生意気な子供だ。こんなのはこらしめてしまえと、ぼこぼこぼこぼこと殴られたから、今でもお釈迦様の頭はこぶらだけなんだ。


ん~ん~、嘘のはなしだ~


お釈迦様は「くるしみとは何か」を追求するためにその生活を捨てて、修行の生活に入った。その結果、発見したのが、「すべてを貫く道徳法則」があるゆえにくるしみは存在する。これを悟った。したがってお釈迦様が発見しようと、しまいと、法則がそこに存在している。


は~。


つまり、仏教は「守る」とか「守らない」とか、そういった話は最初からナンセンス。


ナンセンスなんですね。


では、人間が苦しみから逃れられないのはなぜなのか。それは、人間の中に「煩悩」という原因があるから。


煩悩ですか~。ぼんの~前の、お中元探すの大変ですよね~


お盆じゃない。煩悩だ~


「ぼうのうじのへん」なんて、こんな洒落はお好き?


好きだけど。


煩悩。わかりやすくいえば欲望。お金持ちになりたい、女性や男性にもてたい、お酒を飲みたい、美味しいものを食べたい。これが煩悩だ。


そうなんですね。サッカー選手になりたいとか、これも煩悩ですかね?


まあまあ、サッカー選手になりたくても、なれないときに、わずらわしくなるから。煩悩かもしれないな~


は~


煩悩はひゃくやっつある。この原因を消滅させ、煩悩を断ち切らないかぎり、くるしみは消滅しない。人間は救われない。これがお釈迦様の発見した仏教という法則なんだ。


そうゆうことなんですね。だから法則なんですね。


キリスト教は実はな、奇妙奇天烈、摩訶不思議。解読しずらいんだ。


ん~、ん~。神様の教えを、解読なんて言っていいんですか?


だめだったら、このYouTubeをひっこめる。


大丈夫ですか?


キリスト教の教えと比べれば、仏教の論理はきわめて(めいせき)明晰。近代科学に通じる合理性があるというものだ。


そうなんですね。


それでは、いかにしてくるしみの原因たる煩悩を消滅させることができるのか。


いよ、待ってました。隠居さん。


煩悩を消滅させる方法を説いたのは、他ならぬお釈迦様。お釈迦様はすべてを貫く道徳法則の何たるかを悟ると同時に、煩悩からの脱却方法も発見した。


教えてください。


煩悩を断ち切るにはどうしたらよいか。その方法の一つが修行だ。


修行ですか。


キリスト教とは違って、仏教では「信仰のみ」で救われるというわけにはいかない。


「ibelieve」ではだめなんですね。じゃあ、「ibelieve ほけきょう」「ibelieve阿弥陀様」はどうなるんですか。


そうなんだ。6度目の渡航で本来の仏教=戒律を伝え、日本の仏教を一人前にした、今でも(そんすう)尊崇される(がんじんわじょう)鑑真和上が聞いたら、お怒りになるような話だな。


どのくらいお怒りになりますか。


見えぬ両の目から涙を流すくらいだ。


けっこう怒ってますね。仏になれますかね。


重要なのは、外面的な行動で、俗人のように煩悩にまみれた生活を送っていたのでは、いつまでたってもくるしみが消滅するはずもなく、

お金持ちになりたい。異性にもてたい。食べたいという気持ちを断ち切る必要がある。だから、仏教では修行が重んじられ、お釈迦様が(そうぞう)草創したインド仏教においては、修行者は私有財産を持つことも許されず、働くことも、お金儲けもしてはならなかった。


大変な修行があるんですね。それにしても、え、お釈迦様ってインド人なんですか?もろこし中国でないんですか?


お前~、さっき言っただろ。インドの王子様の話をしただろ~。何を聞いてたんだお前は~。そうだお釈迦様はインド人だ。中国は自国でできたのは儒教と道教、輸入したのが仏教、メインはこの3つだな。


そうだったんですね。


それでだな。もちろん仏教では結婚してはならない。お酒を飲むのも御法度。人や動物、虫を殺してもいけない。こういった行為はすべて煩悩がもたらすものであり、悟りを妨げるものと考えた。そこでお釈迦様は、そのような悟りを開くための行動規範「(かい)戒」を定めた。これが戒律のかいだ。


へ~、戒律のかいは、行動規範だったんですね。行動規範とは、AKBとかとおんなじですかね?アイドルは恋愛はできない


確かに、結婚はご法度だからな~


ジャイアンツは、茶髪はだめみたいな


坊主だしな~


そうだ。しかし、私有財産もなく、仕事もしないのでは、修行者はどうやって暮らしていくのか。修行者は修行集団に入り、そこで(ざいけ)在家信者からのお(ふせ)布施、つまり寄付に頼って生活する必要がでてくる。修行者皆で共同生活をするわけだから、おのずとルールも必要になる。そこで生まれたのが「(りつ)律」だ。


へ~、戒律のりつは修行者の集団生活のルールですか。


そうだ。つまり戒律とは、先ほど伝えた悟りを開くための行動規範である「戒」と。修行者の共同生活でできたルールである「律」。そこかできたものなんだ。


いや~、隠居さん、勉強になりました。


それでは仏教、その結論を申し上げると。


いよ~、再び待ってました。隠居さん!


いや~、ここまで話させてくれて、さわやかな気持ちだ~。難しい言葉で(ねはん)涅槃という境地に達する。修行や善行を積み重ねていき、煩悩から(げだつ)解脱すると仏になれる。つまり「成仏」する。そうすると、輪廻転生のくびきから解き放たれる。これが(ねはん)涅槃という境地、お釈迦様が発見した仏教の基本的な考えなんだ。


へ~。そうなんですね。今日は勉強になりました。いや~、よくわかりました。


わかったか。じゃあ、最後に復習をしようか。はじめに戻るが、仏教の教えは、誰の教えなんだ?


もう、分かりますよ、孔子でなく、孟子でも、荀子でもない、今度は騙されませんよ。


ほ?、分かったか。


分かりますよ、そう、答えは老子でしょ。


お前は~、今まで何を聞いてたんだ~。分かりやすく~、丁寧に説明したはずなのに~、お前は本当に~

、救われない、ばかだ。


参考書籍:『日本人のためのイスラム原論』『アラブの逆襲』小室直樹先生著