「源平盛衰記~漫才」 平家物語2 ~ぽかぽか落語~
前回平家物語で、清盛の半生を語りまして、落ちてくる夕日を招き返すぐらいの剛気な清盛も、熱の病には勝てませんでした。
巨星おつ。すなわちチャンス到来。まず都へ攻め上ったのが山国の暴れん坊木曽の冠者次朗義仲。(ひぐちかねみつ)樋口兼光、今井兼平(いまいかねひら)などの(もうしょう)猛将を連れた三万よき、加賀と越中の国境、くりから峠を攻め上ったから、さあピンチ、急遽、都からリリーフに送ったのが平家のルーキー平維盛(これもり)。くりから峠を挟んだ一戦だが、雨ショボついてるし、日が暮れてるし、真っ暗だ、義仲ぁ女のところに行って、攻めてこねえだろうから、落語の稽古でもするか、ってんで「え~昔の吉原は~」と言ってるうちに、油断はするもんじゃない、攻めてこないと思った木曽の軍勢、普段から訓練が違う。「木曽訓練」てえのが出来てますから、(うし)牛の角へ松明(たいまつ)をつけると、平家の陣中へ放ちました。火牛の群れが飛び込んできた。驚いたのは平家。上を下をの大騒ぎ。当時の書物をひもとくと、
「弓を取る者矢を取らず、矢を取る者弓を取らず」
兜を被ったが、鎧がない。ブラジャー着けたがパンティーどっかいっちゃった。
「あたいのパンティーどこ」
なかにはやかんをかぶって刀振り回したのを見たなんていいますが、
やかんっていう落語を知らないと、分からないですね。
やってるうちにもろに四タテ食らって、どうにも仕様がない、逃げよう、という事で
哀れなり おいきわかぎも山桜 遅れ先立ち花は残らじ
うたぁよんで、平家一門福原へ逃げました。
都で覇を唱えた義仲は、人よんで「朝日の将軍」だ。実力でつかんだ天下だ。俺達は自分でつかんだんだ。食らいたいものを食い、寝たい女と寝ろ、ほしいものはとってこい、ルネッサーンスとはいいませんが。もう10年前ですね。略奪をほしいままにしたから、(みやこびと)都人が怒った、豊かだった平安の都はどうなる?いにしえのあの平氏を、あの政治をもう一度、民主党時代はこりごりだ、時の権力者、後白河法皇が
「誰かうつものはないか」
いろいろせんぎをした結果、伊豆へ流されました、頼朝の所に白羽の矢が立ちまして。
「かたじけない、朝廷のごりんじ。これせえありゃ、百万の味方」と、これ受けとって、すわ鎌倉へと攻め上った時は、その兵は十万を超したといいます。『蒲冠者範頼(かばのかんじゃのりより)』を先頭に、『梶原平三影時(かじわらへいざかげとき)』『同(おなじく)源太影李(げんたかげすえ)『佐々木四郎高綱(ささきしろうたかつな)』『熊谷次朗直実(くまがいのじろうなおざね)』、『村上判官代泰国(むらかみほうがんのだいやすくに)』『和田小太郎義盛(わだこたろうよしもり)』『佐藤継信(さとうつぐのぶ)・忠信(ただのぶ)』の兄弟……。覚えるのに苦労したんですよこの落語…。
宇治川へ攻め上った時に、義経が挙兵し駆けつけた。陸奥をほうぼう苦労して、名も苦労宝官と改めて…、すっかりズーズー弁になっちゃって、
「アンつぁん、スばらくだネ。まぁ、これからつからサ合わせて、平家サ潰さんベェ」
大河ドラマのタッキーもこうしゃべって欲しかったです。
兄弟でやる最初の合戦は、宇治川での義仲との戦い。兄弟と従兄弟、「血で血を争う」という合戦です。夜が明けた。気勢をあげてあがってくる頼朝の勢。迎え撃とうとしたら、義仲がいない。捜しに行ったら、大将、いないわけだ、飲んで、ひっくり返ってた。
さぁ、木曽の軍勢、みな散り散りだ。その名も宇治川、川を挟んでの戦い。攻める側は川に乗り入れるが矢が飛んでくる、弓は……来ないが、その矢に当たるから、人の死骸は流れてくる、馬の死骸が流れてくる。この辺は手塚治先生の火の鳥を読んだらよく分かりますね。
佐々木、梶原のデッドヒートは佐々木が勝った。決め技はフォークボールだ…。義仲は、唯一騎、樋口に別れ、今井にはぐれ、あちら、こちら、と駒を走らせていると、何処から飛び来(きた)ったか、一条の流れ矢が、〝ヒョウ〟とばかり義仲の喉元を射抜いた。〝ドウ〟とばかり馬から落ちた義仲は、哀れ三十一歳を一期として、粟津の深田の(どろ)泥に半面を埋めた彼のその死の顔は、折から白い夕星の(もと)下に、比良の雪の如く冷たいものと化していた……。
いい文句でしょう。吉川英治さんのをそのままパクった談志師匠のパクリですからね・・・。
返す刀で平家十万の大軍をつぶさんと、寿永の三年二月七日、摂津播磨の国境、「鵯越(ひよどりごえ)の坂落し」です。
絶頂に立った義経、平家の大軍を背後からついた。源氏は海から来なくて、山から来た。
一之谷のいくさ破れ 討たれし平家の公達あわれ……
(あまた)数多の武士が亡くなりました。
おちないと思った天険の「一ノ谷」が落ちた。総大将の(とももり)知盛が怒ったが後の祭りです。陸と海との源平の追っ掛けっこ。
元暦の二年二月十九日、「屋島の合戦」。
今日も一戦終わって、帰ろうとすると、いっそうのござ船が出てきて。(みよし)水押に(さお)竿が立ってる。その先に扇が付けてあって、
「だれかこの扇を射てごらん」
と手招きしたのが、ミス平家とよばれた「柳の前」です。
「誰か射る者はないか」
我も拙者もみずからもと。ならば選挙という事になって、野州宇都宮から選ばれた、茄子の与一宗高君が、16万3千5百47票取って、
(そうかがっかい)創価学会をバックに当選しました。
なんだかわからない。
「与一宗高、畏まって候、葦毛の駒に金覆輪の鞍(くら)を置いて打ち跨り」。
(パンパパンパパンパパンパパンパン)
うまくないですけどね。
「打ち上げ、打ち寄する波うち際に行けば、遥か彼方の扇の的をば見渡せば、(パンパン)
矢頃なかなか遠ければ、蔵壷(くらつぼ)浸す辺りまで、駒、波間にのりいれ。(パンパン)
重籐の弓にかぶら矢をガッキと番え、あたかも空ゆく満月の如く引き絞り、ヒョウ、プッツ、切って放てばあやまたず、
扇の要ヒョウと射貫き(★扇子をひらく)、
遥か中天に舞い上がりし扇面は
春風にひと揉み(パンパパンパパンパパンパパンパン)
ふた揉み(パンパパンパパンパパンパパンパン)
され 、
痛いんですね、これ本当は。ひざをたたいてるだけなんです。
サッと波間に漂う。(パンパン)
これくらいがいいですね。
沖には平家船端を叩いて感じたり。陸(くが)には源氏箙(えびら)を叩いてどよめけり。
わ~と歓声があがりました。
これを見ていた那須与一宗高が一世一代の名台詞
「何もいえねェ」
これ、オリンピックで二度目の金メダルをとった北島康介選手の名台詞です。
一度目の金メダルは「ちょ~気持ちいい~」覚えてますでしょうか。
とどのつまりが、壇ノ浦、権中納言知盛が軍勢を立て直したから堪らない。暴れ者、(のとのかみのりつね)能登守教経に追われた義経は、船を八艘跳んで逃げた。八艘跳びだ。一艘の御座船へ来ると笛を吹いて奴がいる。よく見ると、横笛ではなかった。平家一門の相次ぐ敗戦にさめざめと泣いていたのが徳子嬢。その声が横笛に聞こえた。平家の女性は美しかった。泣いている彼女の肩へ優しく手をかけた義経が、歴史的な名文句、
「あんた、泣いてんのネ」
この様子を見ていた(のとのかみのりつね)能登守教経、もはや、運命これまで、と源氏の武士を両の腕(かいな)に、〝ガッキ〟と抱え、
海の藻屑と消え、平家蟹の元祖となりました。怒り狂ったか、知盛は、錨を自身に巻き付けて海の中へと飛び込みました。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色は、盛者必衰(しょうじゃひっすい)の理を表し、げに驕る者久しからずという、平家物語でございました。
落語はここまでなんですけど、昔つくった漫才をあのときのままで。爆笑問題太田さんが書いた漫才の本をそっくりそのままにしてるだけですけど。今相方の「お神」くんはここにはいないので、私一人で、演じます。私がボケ担当で、お神くんがつっこみ担当だったんですね。「ぽかみ」というコンビ名で。おかみくんがつっこみがうまかったので。一人でやるのは心配ですね。とんでもないできになりそうです。落語ちょうではなしますね。
お神―いや~、落語お疲れ様でした。
ぽか―いや~疲れたね。覚えるのを苦労しましたよ。あと、早口になると私は何を言ってるか分からなくなりますから、何回も何回も自分の落語を録音して、客観的に見て。
お神―へ~そんな努力してたんだ。
ぽか―私は自分を客観的に見れるんです。「あなたとは違うんです」。
お神―それを言いたいだけだろ!、いや~でもあの福田さんの会見は驚きましたね。
福田さんが総理大臣やってた頃にこしらえた漫才なんですね
ぽか―。いや~でも、あのときは驚きました~、まさか大麻吸ってたとは。
お神―吸ってねぇよ!相撲界の事とごっちゃになってるだろ!でも驚きましたね、家でテレビ見てたら突然の辞任会見で。やっぱり国民からもひんしゅくかい、自民党内部でもさすがにひんしゅくをかいて、さすがに無責任だろ福田さんって、党本部でも辞任会見が中継されてそれを見ていた議員が「ふざけんな!」と罵声をあびせてたらしいですけど。
ぽか―一番怒ってたのが安倍さんだって。
お神―そんなわけねぇだろ!
ぽか―「無責任じゃねぇか~」
お神―お前に言われたくねぇよ!
ぽか―「途中で投げ出すな!」
お神―お前だよ!安倍さんに言われたくないよ!でも、最終的に福田さんはひとごとみたいな感じがありましたね。
ぽか―そうですよ、辞任会見だって、「私は辞任を決意したそうです」って
お神―そうですは言ってねぇよ!そんなひとごとじゃねえよ!いや、でも「あなたとは違うんです」あれで国中の反感をかいましたね。
ぽか―あの後福田さんのツイッター大炎上で。
お神―はやってねえよ、その時代にツイッターは。
ぽか―志らく師匠のツイッターより炎上して。
お神―志らく師匠の名前をだすな。
ぽか―神田松之丞さんが言ってましたよ、志らく師匠のすごいところは、テレビの発言で炎上し、同じ内容でツイッターでも炎上して、二重構造になってる。
お神―余計なことを言うな。二人とも好きだな。志らく師匠のことが。それに、福田さんツイッターやってねえよ!それに比べて、麻生さんは、はっきりしていて、なんでも曲がった事が大嫌いって性格でして。
ぽか―それにしては口は曲がってますが
お神―そこはいいだろ!でも今過去を振り返ってみたら、それぞれの総理大臣にそれぞれの深い事情があったように思いますね。そして、今の政治はおいといて。昔の武士というのは凄かったですね、鎌倉幕府を作ったのは、あの有名な源頼朝なのですが、その直前まで日本を支配していたのが平清盛だったんですね。日本全体の半分を平氏が占めて「平氏じゃなければ、人じゃない」と。
ぽか―そう、平氏でないものは神であると。
お神―違うだろ!お前自分の落語を否定する気か!
ぽか―平氏でないものはお神だと。
お神―勝手に人をネタに使うな!
ぽか―な、清盛
お神―清盛じゃねぇよ!、で、とにかく何だかんだあって、平氏を倒せってことで立ち上がったのが、頼朝とその従兄弟の義仲、頼朝の弟の範頼(のりより)、そしてかの有名な義経なのですが、とにかくこの兄弟は、今まで味方だったと思ったらすぐ敵になる。最後はみんな殺し合いになりますね、義仲なんか、京から平氏を追い出したと思ったら、いきなり範頼、義経に殺されちゃう。
ぽか―ひどいなんてもんじゃないですね。
お神―またこの頼朝・範頼・義経って兄弟が仲悪くて、結局いがみ合うことになります。
ぽか―その原因がくだらないですね。
お神―何が原因なの?
ぽか―焦げ目のことでケンカ。
お神―「だんご3兄弟」じゃねえか!
ぽか―最後はみんな、殺されて、かたくなりました。
お神―お前の言ってることかいちばんくだらねえよ!
ぽか―なぁ、清盛。
お神―清盛じゃねぇよ!
ぽか―清盛ちょっと、踊ってみてよ
お神―えっ?こう?こうやって踊るの?(お神踊る)
ぽか―踊る平家は久しからず
お神―くだらねぇよ!、
ぽか―レインボーブリッジが封鎖できません
お神―踊る大走査線だ!
ぽか―今日は~、お金のことは~、考えなくていいから
お神―それは、おごる上司だ。
ぽか―景気が悪くなり、おごる上司は久しからず
お神―何、うまいこと言ってんだよ。で、まぁ、結局この兄弟、最初は一致団結して、ものすごい勢いで一之谷、屋島、檀ノ浦の合戦に勝って、平氏を滅ぼしちゃいます。結局源平合戦というのは終わってみたら源氏の圧勝でして。
ぽか―もうその頃には、はらたいらさんに五千点賭けるヤツなんて誰もいなかったらしい。
お神―たいら違いだよ!ところが頼朝は、いざ平氏を滅ぼしてみるとこんどは、数々の合戦で活躍し、絶大な人気が出てきた義経のことが邪魔になって、結局いがみ合った末にこれを殺しちゃう。その後、頼朝には絶対に服従だった範頼のことも怪しんで、修善寺に幽閉し。あげく、やっぱり殺しちゃう。
ぽか―悲惨な兄弟ですね、私もいつかぽかりが粋を殺すんじゃないかってビクビクしてます。
お神―お前の弟子の話か。分からないよ、聞いてる人は。しかも、ねぇよ、そんな事!でも 、これらの出来事は、実は、ある、一人の人物によって、仕組まれたことなんです。
ぽか― 一人の人物?
お神―そう、御白河天皇。
ぽか―あぁ、お神に似てるやつだ。
お神―みんな俺に似てるのかよ! この人が知能犯で。源氏に平氏を滅ぼさせた後、源氏同士も対立させて、源氏も弱くしちゃおうって考えなんだ。
ぽか―そうなんだ。
お神―まず、従兄弟の義仲を討てと頼朝に命令したのが始まり、義経にわざと官位をやって頼朝にヤキモチ焼かせ、その後義経に頼朝を討てと院宣を出し、義経がかなわないとわかると、翻って頼朝に義経を討てと命じ、ぜんぶ裏で糸を引いてたんだ。
ぽか― 一説によると、ケネディ暗殺にもかかわってたらしい。
お神―そんな説ねえよ!でも、それがなくても、頼朝が義経の存在を恐れたのはまちがいなくて、何しろ強くて、人気があった、それくらい魅力的なんだ。
ぽか―歌舞伎でも『勧進帳』は有名ですからね。
お神―頼朝に追われた義経一行が、身を隠しながら逃げる途中の(せきしょ)関所で、(せきし)関使に義経じゃないかと疑われて、家来である弁慶が主人の義経のことを「お前が義経に似てるばっかりに……」と、断腸の思いでボコボコ殴ってみせる。それを見て心を打たれた(せきし)関使は、義経だとわかっていながら通してやるという。
ぽか―そう、でも結局翌朝、義経は、それがもとで死んでいた、らしい。
お神―そんな話ねえよ!それじゃ、いい話でもなんでもねえじゃねえか!
ぽか―あと、この頃農業でも大きな変化があって、"ニ毛作"が始まったんです。
お神―そうなんだ。
ぽか―そう、これまでは人間は頭にしか毛が生えてなかったのが、この頃初めて陰毛が生え出した、それがニ毛作。
お神―いい加減にしろ!
どうも、ありがとうございました。