「数学を使わない 数学の講義1」 大航海時代 ~ぽかぽか落語~

こんにちは


おや、誰かと思ったら八っつぁん


前回は仏教について教わりましたけれども。


ほ~、仏教とは誰の教えなのか、覚えているか。


覚えてますよ~、~荘子でしょう~


お前~、全然覚えてないじゃないか~


冗談ですよ、発見したのはお釈迦様ですけど、答えは~誰の教えでもないでしょ。


そうだけど、今日は何しにきたんだ


いや、隠居さんに、数学について教えてもらいと思って、きたんですよ~。


勉強熱心だな~、それでは「数学を使わない 数学の講義」をしてやろう


そんなのできるんですか


小室直樹大先生の本を読んだからな~。


たよりになります


まず、「数学とは何か」この本質、この論理からだ。


論理ってなんですか?


お前~、教えることが増えるじゃないか~。あ~、論理というのは~「論理の方法」というのがあるんだ。


~不倫の方法ですか。


そお~れは、私が教えてほしい。そ~んなことはできな~い。論理の方法だ。論理とは「本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業だ」


本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去るということですか。立川談志師匠が~「落語とは人間の業の肯定である」と本に書いてありますが、本質的なものだけを強調して抜き出しとは、「居残り佐平治」や「黄金餅」など人間の業を語る落語ばかりをやり、棄て去る作業とは、「文七元結」や「子別れ」など人情噺の名作は~「業の克服」だから、落語ではないと棄て去るということですか。


んん~。するどいな八っつぁん。「落語とは人間の業の肯定である」という論理でいけば、まさにその通りだ。しかし、立川流家元は「文七元結」や「子別れ」などの人情噺について、”抵抗がある”といいつつも、棄て去ることはできなかったな~。


(泣きながら)涙がでる。なんともいえない、はなしですね~、隠居さん~。


そ~うだ~な~。はっつあ~ん。そして、「論理を使う」~、その秘訣は、モデルを自分自身で作ってみることだ。


モデルっていうのは、足が長くて、ないすバディな


そのモデルもいいな~。ないすバディな。夢のようだ~。夢ではなく、モデルとは仮設であり、モデルとは、先ほど伝えた、本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業のことだ。「落語とは人間の業の肯定である」というのも、モデルを立川談志師匠が作ったということだ。経営を合理化する、自分の考えを他人にわからせる、モデルを自分自身で作ることができたら、そういうことも簡単にできる。これが論理だ。


分かりました、論理とはモデルであり、「本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業」ですね。


ところで、数学の講義だが、「数学を使わない」とは、「計算」、「補助線を引く」などの技巧を駆使せずに、数学的発想を持つことを目的とする。そして、「数学の論理」だが、まず「それが存在するかを確かめることが最初である」


存在を確かめるですか。


そうだ。「存在問題」は数学が提起した。その重要性について、「大航海時代」を例に話そう。


隠居さんが船長をしてたときの話ですか。


お前~、「ハリーの災難」の映画ように、航海もしていないのに、船長だったと自慢をするじいさん、みたいな言い方をするなよ~。私は船長なんてしてないよ~。でもな、「ハリーの災難」はヒッチコックが監督だから面白い~ぞ~。シャーリー・マクレーンのデビュー作だが、シャーリーはかわいい~、メロメロだ~。


好きなんですね、シャーリー・マクレーンが


「大航海時代」に新航路は果たして存在するのか


新航路ですか。


分かりやすくいえば、近道だ。近道、新航路は存在するのか、しないのか。数学の「存在問題」解決で、”やる気”を増進させるな。


数学はモチベーションに関係するのですね


まず、大航海時代は人類の歴史にとって決定的意味を有する。多くの土地が発見されただけではない。世界観が根本的に変わった。それは何だと思う?八っつぁん。


大航海時代で、世界観が変わったこと。ん~地球を一周して分かったことですよね~。ん~地球が丸いということですかね。


お前~、地球が丸いと思ってるのか~


丸くないんですか?


丸くないよ~


隠居さん、地球儀ってみたことないですか?


あるよ


あれ、丸いじゃないですか


お前~、文房具で売ってるものを信用するのか~


んん~?嘘だ~。


冗談はさておいて、地球が丸い、らしい、ということは古代ギリシャ人も知っていた。しかし、船を乗り出して、そのことを実証してみようと試みたのは、コロンブス、バスコ・ダ・ガマをはじめとする大航海時代の冒険者たちであった。そして、最終的にそのことを証明したのは、マゼランである。このことは知られている。しかし、マゼランは、もう一つの大発見をしていることを、ここに特筆しておかなければならない。

それはなんだと思う?


マゼランが大発見をしたこと。航海で。地球を一周して分かったことですよね。ん~。地球が公転している、地球が太陽の周りを廻っているということですかね?


お前~、地球が太陽の周りを廻る?そ~んなわけないだろ~。太陽が地球の周りを廻ってるだろ~。


でも、ガリレオがそれでも地球は廻っているって


あれは~、酔っぱらって言ったんだよ~


え、でも日が昇る、日が沈むっていうじゃないですか


だからどうしたんだよ~?


太陽のまわりを、地球がまわってるんじゃないんですか?


太陽のまわりを、地球がまわる?地球の周りを太陽がまわってるんじゃないのか?


は~


第一、日が昇る、日が沈むって、地球のまわりを太陽がまわるんだったら、日が~傾く~とか言わなきゃおかしいじゃないか~


んん~?嘘だ~。


冗談はさておいて、ガリレオガリレイについて、当時は宗教的にも地球が中心でないといけなかったんだ。だからガリレオは宗教裁判にかけられて。裁判に負けて「それでも地球は廻っている」という有名な言葉を残した。実はべつの説もあって、「あ~、裁判に負けてしまった~、あ~めがいがする~あ~まるで地球がまわっているようだ~」こういった説があるんだ。


んん~?嘘だ~。


それとな、これをみていた貴族たちが「悪いなガリレオくん、地球はわれわれを中心にまわってるんだよ」こういった説があるんだ。これが、ぽかぽかの説だ。


誰ですか~。たいしたことは言わない人ですね~。


マゼラン艦隊は地球が太陽の周りを廻っていることを、最終的に確認した。それよりはるか前に、ガリレオよりもずっと前に、コペルニクスによって天動説は否定されて地動説が証明された。コペルニクスは天動説では説明できない星があることを発見した。地球が、そのほかの星と一緒に、太陽のまわりをまわっていることを証明した。そして、「地球は1日に1回自転している」。さらに、「年に1度太陽のまわりをまわっている」この二つを主張した。しかし、その後ガリレオが宗教裁判にかけられているくらいだ。それよりずっと前の時代の話だ。コペルニクスは用心をして自説を晩年まで発表しなかった、中世キリスト教の世界観とは異なるためだ。コペルニクスが証明したのちも、地動説を支持したために殺された人々もいた。


中世キリスト教は何だから悪いやつですね~。


お前~、余計なことを言うな~。さて、地動説が正しいとすれば、地球を一周してくれば、日付が1日ズレなければならない。マゼラン艦隊のトリニダット号は、このことを確認した。


トリニダット号ですか?ヨーロッパに帰ってきたのはビクトリア号じゃないんですか?サン・アントニオ号はどうなったんですか?



お前~、何でそんなに詳しいんだ~


ワンピースを読んだから


ワンピースに書いてあるのか~?


パイレーツオブカリビアンですかね?


適当だな~。サン・アントニオ号は、後から説明する「マゼラン海峡」で、はぐれてしまい、スペインに帰ってしまった、艦隊最大の船だ。そして、艦隊の司令長官が乗っている船を、旗に船と書いてきかんというのだが、きかんであるトリニダッド号の航海士がつけていた「航海日誌」から、地球を一周するとひづけが1日ずれることを確認した。トリニダットは、キリスト教の三位一体を意味するトリニダードというスペイン語を由来している。ちなみに、カリブ海にあるトリニダード・トバゴ共和国の国名は、マゼランではなく、コロンブスが島にある3つの山をみて名付けたことから由来する。


キリスト教の三位一体説については別の機会に教えてください。


そうだな。キリスト教については、予定説をいつか説明しなければならないと思ってる。そしてだな。しかし、ヨーロッパに帰ってきたのはビクトリア号の1せきだけだ。後からはなすが、このときビクトリア号にマゼランは乗っていなかった。マゼラン艦隊は「日がのぼり、日が沈む」このタイミングで毎日、航海日記をつけていた。ヨーロッパに帰ってきたら日付が一日ずれていた。この大発見は、天文学者をはじめ、世の人々を感銘させた。


大発見ですよね。それにしても、世界一周をしヨーロッパに帰ったころには「翼よ!あれは巴里の灯だ」と言ったでしょうね。


いってない~、でも、いいたい気分だ~。世界初、大西洋横断無着陸飛行の成功者チャールズ・A・リンドバーグの映画化で、監督は、【ビリー・ワイルダー】だ~!ジェームス・スチュアートがその役をやり、とにかく熱い絶対観た方がいい映画だ~。大航海時代の目的は新航路の発見だ。コロンブスがスペインのイサベラ女王に航海資金を願ったのも、新インド航路発見のためだ。貴重このうえない香辛料を、インド、極東から直接購入するためには新航路の発見が必要。ヨーロッバの寒くて長い冬、家畜に食べさせるものがない、家畜の飼料、これが問題になっていた。肉を腐らさないためには、香辛料が必要であった。他にも肉を腐らせない方法はある。塩漬けにする方法だ。塩漬けされた肉は、食べるときにこしょうがかけられた。口の中がカーッとあつくなるあの感覚は一種の中毒になった、文化が成熟し、料理もおいしいものを作るようになり、香辛料をもっともっとほしいとなった。


香辛料ですか。ヨーロッパは先進国だから、香辛料はとれなかったんですね。後進国は香辛料がとれたんですね。


~こうしんのダジャレだな。しかし、ヨーロッパが先進国というのはごへいがあって。今でこそヨーロッバが先進国のようだが、それはつい最近までの話だ。世界の中心はずっと中東にあった、当時は巨大なオスマン帝国があり、陸からインドまでには簡単には通行できなかった。陸がだめなら海。真っ先に海にでたのが、イベリア半島でヨーロッパの南西の端っこだった、スペインとポルトガルだ。


端っこが功を奏するってたまにありますよね。構想マンションの角部屋。窓が2面にあって、いい眺めですよね~。


そうだ、おかげで、スペイン・ポルトガルは先行者利益にありつけた、その絶頂が、絶対王政全盛期のスペイン王、ハプスブルク家フェリペ2世だ。ポルトガルを併合し。イベリア半島を統一し、アフリカ、インド、東南アジア、中国に点在する海外領土を獲得し、「太陽の沈まぬ国」と呼ばれた。先ほどはなしたが、マゼランがトリニダット号でヨーロッパに帰ってこれなかったのは、途中フィリピンで殺されたからだ。マゼランはフィリピンのセブ島に上陸し、服従しないと戦争を起こすと、脅迫して、セブ王を服従させた。そして、キリスト教に改宗させた。これが、現在フィリピン人の8割以上がキリスト教であるきっかけだ。ところが、セブ島のとなりのマクタン島の王「ラプラプ」なのだが。


王様の名前が「ラプラプ」ですか。


「ラプラプ」はこの情報を知っていたから、待伏せし、マゼランはフィリピンの「ラプラプ」島で殺されたのだ。


「ラプラプ」島ですか?


間違えた、「マクタン島」だ。「ラプラプ」は王様の名前だ。「ラプラプ」はマゼランを殺したことで英雄となった。しかし、このあと、フィリピンはスペインの植民地になり、先ほど伝えた「太陽の沈まぬ国」のフェリペ2世の名前にちなんで、フィリピンという名前になった。


フィリピンは、スペイン王でハプスブルク家のフェリペ2世の名前が由来だったんですね。


マゼランの大航海は想像を絶する苦しいものだったから、乗り組み員たちは、フィリピンでマゼランを助けなかった。


~つめたいですね~


ビクトリア号だけヨーロッパに帰ってこれた。マゼランの航海については、最後に話す。ちなみに、スペインとポルトガルについて、全然関係のない話なんだが、スペインとポルトガルのイベリア半島は、かつてはイスラム帝国によって支配されていた。しかし、イスラムは寛容だから、キリスト教と違ってイスラム教を押し付けたりはしない。そして、大航海時代の話に戻るが、マゼランよりも前のはなし。ポルトガルの航海者ヴァスコ・ダ・ガマが、西ではなく、アフリカを下回って、インドまでたどりついた。その前のディアスという航海者の成果で、今の南アフリカ共和国、西ケープ州、ケープタウンにある「きぼうほう」が発見され、その後、ヴァスコ・ダ・ガマは、きぼうほうを迂回することで、イスラム教徒のパイロットに導かれて、インドのカルカッタに到着した。


ヴァスコ・ダ・ガマが、初めて船でインドに行った人なんですね。


それは間違いなんだ。実は大航海時代のさきがけは、中国、明のていわという人であった。ヴァスコ・ダ・ガマの船は100トンくらいだが、それよりはるかに巨大な、およそ8000トンの巨船を62せきも率いて、(なんきん)南京から(ちょうこう)長江を下って、海に出て、インドの海を回ってアラビアに至った。そして、前後7回、インド洋を縦横無尽に大航海を行った。ヨーロッパで大航海時代がスタートする80年以上も前である。ヴァスコ・ダ・ガマはそのことを知らなかった。ていわの大航海は、あまりにも巨大であったが、中国の人々も忘れてしまって、伝説を信じる人も絶えてしまった。それが、後年、驚くべき巨船が発掘されたので、人々は思い出したのであった。ていわという大航海時代の先駆者は、ほどなく忘れ去られたっきりで、歴史に何の足跡も残さなかった。歴史がこれによって変わることもなかった。その理由は、ヨーロッパの大航海時代に限って、その目的は新航路の発見に向けられていたからである。存在問題であればこそ、それは、歴史的に致命的重要さを持つものであった。大航海者ていわは、既存の進路を進んだにすぎない。新航路の発見はめざすところではなかった。存在問題は、彼の眼中にはなかった。それであればこそ、彼の空前の大航海も、世界史には何の重要さを持たず、やがて、完全に忘却の闇に紛れさっれてしまったのであった。


存在問題でないから、ていわは歴史に名前を残さなかったのですね。


そして、ヴァスコ・ダ・ガマによって、ポルトガルは航海ルートを安定させることで、インドとの香料貿易により繁栄した、喜んだポルトガルの国王が名前をつけたのがきぼうおほう。その名の通り、ポルトガルの希望の岬となった。現在は観光スポットだ。しかし、実はアフリカ大陸の最南端は、きぼうほうから約150kmも東に離れる、アガラス岬だ。


んん~?かわいそうだ~、アガラス岬は、アフリカ最南端なのに、観光スポットの主役を、きぼうほうにとられてしまったんですね~。


スペインはポルトガルに先をこされてしまった。地球は丸いとわかっていたが、当時の常識からいえば、そもそも地球は丸いと完全に信じられていたわけではなく、あるところまで行けば、滝のようにドッと落下する恐れがある。つまり地球平面説まで考えられていたわけだが。そして、その時の地図はアメリカと南米はないという世界観。それでもスペインは、西、大西洋への新航路の発見を急いだ。新航路は存在するかどうか。航路の存在問題が正面からつきつけられた。まず、アメリカ大陸を発見したのはスペインがバックアップしたイタリア人のコロンブスだ。


アメリカ大陸を発見したのはコロンブスですか。


そうだ、どんぶらこ~、どんぶらこ~と大西洋を渡った。


んん~?違う~。どんぶらこは、違う~。どんぶらこは、桃太郎でしょう~


しかし、コロンブスは、これはインドに違いないと思い込んだ。そこに住んでいる人の肌の色を見て、インド人だと思い、インディアンと呼んだ。コロンブスは死ぬまでアメリカ大陸をインドだと思いこんだ。コロンブスがたどり着いた、南北アメリカ大陸に挟まれたカリブ海域にある、その場所を西インド諸島と名前が付けられた。


んん~?アメリカ大陸なのに、西インド諸島~、コロンブスが勘違いしたせいで、アメリカ大陸なのに、インド~名前がややこしい~。


その後、これまたイタリア人のアメリゴ・ベスプッチが、「これはインドではなく、別の新大陸である」と発見した。


アメリゴ・ベスプッチは、別大陸であると、発見したのですか。


そうだ、~どんぶらこ~、どんぶらこ~と大西洋を渡った。


違う~。


そこにたどり着くまでに、アメリゴ・ベスプッチはスペインでコロンブスに会ってお互いに情報交換をし、双方がマルコ・ポーロの『東方見聞録』から受けた影響力は大きく、コロンブスが目指していたのは、当時世界的に伝説的な扱いをされていた「黄金の国ジパング」だった。アメリゴ・ベスプッチは未知の国への関心をさらに強めた。スペインをスポンサーに西インド探検航海でアメリゴ・ベスプッチは初航海におもむいた。その後、スペインではなく、ポルトガルの使者であるカブラルが、面白いルートなのだが、きぼうほうから、西に行き、ブラジルを発見した。


きぼうほうから、インドに行かずに、反対のブラジルに行ったんですね


そうだ、一人だけ違うことをするやつがいるだろう、右手と右足を一緒に前に出して歩くやつ、あれをやったんだ。


あ~。そうですか~。


ポルトガル王がそのときに発見したブラジルが単なる島なのか、スペインが既に探検していた大陸の一部なのか。それを知ることを望み、ブラジル北岸の探検経験をもつアメリゴ・ベスプッチを抜擢。今度はスペインではなく、ポルトガルをスポンサーにアメリゴ・ベスプッチは南に南にすすんだ。


「サミー南へ行く」ですか?


お前~、それは、スエズ運河の使用をめぐり、イギリスとエジプトの間に戦争が勃発しようとしていた、スエズ運河北端にあるポートサイドで、イギリス人の10歳の少年サミーの家が爆撃され、一人残されたサミーが、南アフリカに住んでいる叔母をたよりに、「南」を目指して旅に出た映画だ~。


スエズ運河のはなしがでましたけど、運河ってなんですか?


お前~、そんなことも知らないのか~。どんどん話がそれていく~。運河とは人工的な川だ。スエズ運河はエジプトにあるが、国際スエズ運河株式会社の株をフランスとエジプトが引き受けることで、工事が実現した。着工から6年かけてようやく完成したものの、経営難におちいり、エジプトが株をイギリスに売却。その後、イギリスとフランスが株をもってるのに、あろうことか、エジプトが運河の国有化を宣言、イギリスとフランスが反発し、スエズ戦争が勃発した。これがサミー南へ行くという素晴らしい映画を生んだんだ。


隠居さん、その映画、見たことあるんですか?


観たことない~、手に入らないんだ~。そしてエジプトのスエズ運河なんだが。イスラエルのあるシナイ半島の西にあるが。地中海と紅海、こうかいとはくれないにうみと書いて紅海だ。


くれないのぶたですか?


ちがう、くれないにうみだ。


藻類のトリコデスミウムが異常繁殖し、死滅すると海面を赤褐色に変化させることに名前が由来している。大航海時代のだいぶあとの時代になるが、地中海と紅海を結ぶためにエジプトに造られた。それまで、インドに行くにはアフリカ大陸を(かいこう)廻航しなければならなかった。スエズ運河によって、ヨーロッパとアジア間の航路が、約8000キロも短縮された。


~地中海って、~イタリアや~ギリシャの~南にある~瀬戸内海みたいなところですよね。


ん~。


~紅海って、~エジプトと~サウジアラビアの間の~ほそ~い海ですよね。そこから、~アデン湾に広がって、~アラビア海、~つまりインド洋にでられる。


ん~。分かりやすくすると、~仮に淡路島が完全に陸続きで瀬戸内海から太平洋にでれないとしてだな。広島がイタリアで、岡山がギリシャ、兵庫がトルコだな。大阪がシリアで、淡路島がカルロスゴーンのいるレバノン。徳島県の鳴門がイスラエル。香川がエジプトで、愛媛がリビア。京都がイラクで滋賀がイラン。サウジアラビアが奈良で


ん~?奈良はそんなに大きくないでしょう。和歌山がサウジアラビアでしょう。


いや、奈良は意外と大きいんだ。京都と比べてみてくれ。和歌山県がイエメン、三重県がオマーンだ。岐阜県はアフガニスタンで名古屋はパキスタン。そして静岡の伊豆半島がインドだ。仮に淡路島が完全に陸続きで瀬戸内海から太平洋にでれないとしてだな。広島から船で伊豆に旅行、もしくは静岡のお茶。西尾の抹茶を船でとりよせようとするときに、四国を南下して、太平洋から静岡に行くのではなく。兵庫の明石から、大阪をとおり、名古屋までつっきる大運河を作り、広島から瀬戸内海を航海し、名古屋港より伊勢湾に広がり、静岡まで船で行けるようになったという話だな~。


んん~?無理やりですね~。途中から聞くのをあきらめました~。地球儀で検証しますね。んん~?あながち間違いでもない~。でも~、運河の引き方が無茶苦茶だ~。


途中から聞くのをあきらめたのか、ではもう一度話すが、


ほんと~に、もう一度はなすんですか~?正気ですか~?


広島がローマの休日でおなじみのイタリアで、岡山が神話でおなじみのギリシャ、兵庫がオスマン帝国のトルコだな。淡路島がカルロスゴーンのいるレバノン。徳島県の鳴門がキリスト教・ユダヤ教・イスラム教の三大宗教の聖地エルサレムがあり、その近くのベツレヘムでキリストが生まれ、現在はユダヤ人国家のイスラエル。香川がナイル川のエジプトで、愛媛が「明日に向かって撃て」のリビア。


「明日に向かって撃て」は南米のボリビアじゃないんですか?


そうだ。間違えた。「明日に向かって撃て」は大好きな映画だ。何回も何回もみてる。


アメリカンニューシネマの傑作ですよね。はじめてみたときは、世の中にこんな素晴らしい映画があるんだって、驚きますよね。


ここからは古代オリエントの雰囲気が入ってくるが、大阪が大シリアのシリアで、京都がチグリス川とユーフラテス川で有名なメソポタミア文明のイラク。イラクはシュメール人やアッカド人、それ以降では「目には目を、歯には歯を」で有名なハンムラビ法典のできた、古バビロニア。そしてシリアやエジプトまでを支配するアッシリア帝国。そのご新バビロニア。どうだ。イラクは歴史があるんだ。フセインだってイラクだ。


イラクはフセインだけじゃないんですね。ものすごい歴史ある国なんですね


そして、滋賀はペルシアのイラン。そして、イスラム教の開祖ムハンマド、またの名をマホメットが生まれたアラビアの紅海に近い商業都市メッカのあるサウジアラビアが奈良。サウジアラビアは石油もとれ、現在中東でナンバー1とも言ってもいい国だ。


日本で他に例えたらどこですか


そうだな。サウジアラビアは九州で例えたら、福岡だ。


奈良じゃないんですね~


和歌山県がイエメン、三重県がイセエビで、オマールエビではなくて、オマーンだ。岐阜県はサウジアラビアの王子様でソ連と戦ったビンラディンのアフガニスタン。


アメリカと戦ったんじゃないですか


はじめは、ビンラディンは、旧ソ連軍が侵攻したアフガニスタンで、イスラムを守るための戦いに参加したんだ。マルクス共産主義は宗教を否定してるから、イスラムは何としても、ソビエトの侵攻を防ぎたかったんだ。


ビンラディンはイスラムを守る戦いに参加してたんですね。


そして、名古屋は、イギリスのせいでインドと仲が悪くなったパキスタン。今でもカシミール地方の領有権を争っている。そして静岡の伊豆半島が釈迦の生まれたインドだ。


本当に全部喋っちゃったんですね。ところで、スエズ運河のほかにも、運河はありますよね。パナマ運河。


お前~?どんどん話がそれていく~。パナマ運河はカリブ海あたり。北アメリカと、南アメリカの、ちょうど中間のパナマ共和国にある大西洋と太平洋を結ぶ、全長約80kmの広大な運河だ。それこそ、仮に兵庫の明石から、大阪をとおり、名古屋までの大運河で例えると3分の1くらいの距離だな~。


んん~?そのたとえは、何の役にもたちませんよ~、なんで、ありもしない日本の運河で例えるのですか~、アインシュタインにホワイトボードをプレゼントするようなものですよ~。


お前~、お前の例えも、わからない~。とにもかくにも、パナマ運河は、北アメリカと、南アメリカの間の細~い列島、にあり、大西洋にあるメキシコ湾の南、カリブ海から、太平洋につっきるルートだ。日本で例えると。


やめてください~。日本のありもしない運河で例えないでください。有名なのはスエズ運河とパナマ運河ですか?


先ほど伝えたとおり、運河とは人工的な川だが。印象的なのは、イギリスで国中に張り巡らせた運河だ。運河づたいに、どこへでも行ける。日本では、想像もできないほどの運河だ。


行ってみたいですね~。


産業革命以前に資本制社会が成立し、膨大な量の商品、途方もない量の商品の流通が必要になる。馬ではとても運び切れない。どうしても運河が必要になってくる。そして、できたのがリーズ・リバプール運河だ。その長さは約200キロある。仮に兵庫の明石から、大阪をとおり、名古屋までの大運河で例えると。


やめてください~。パナマ運河で例えてください~。


それと同じくらいなんだがな。パナマ運河と比較すると、2~3倍だ。その後、西側の港リバプールと、東側の港ハルとの間に運河が開通した。その運河の長さも200余キロある。間もなく、イギリスに、世界で初めて鉄道が発明される、それがリバプール・マンチェスター線だ。運河は無用のちょうぶつになってしまった。


世界最大の運河は、使われていないということですね。


お前、何言ってるんだ~、世界最大の運河は、これから話す中国にある大運河だ~。


んん~?今まで、何を話してたんですか~。


運河で印象的なのはイギリス。しかし、運河といえば、隋の第2代皇帝煬帝が築いた、黄河と長江を結ぶ。大運河だ。


んん~?、これは、別の落語で話しませんか?


分かった分かった。その運河の長さだけでも。合計すると約1700キロにおよぶ。例えると。


~日本では例えないでください~


イギリスのリーズ・リバプール運河の、約8.5倍だ。ところで、アメリゴ・ベスプッチは南に南にすすんだ。すすんでも、すすんでも大陸は続く。すすめば、すすむほど、寒くなった。


すすんでも、すすんでも大陸、すすめば、すすむほど、寒い。やぶれたらぬえ、やぶれたらぬえ、ですね。


お前~、それは、前々回やった天災という落語だ~。そこで、「あまりにも南に長い~」ということで、これはインドではないと発見したんだ。その新大陸をアメリゴ・ベスプッチの名前を由来し「アメリカ」となった。


アメリカ合衆国の名前の由来は、航海者が由来だったんですね~。新大陸を発見したのはコロンブスで、名前の由来はアメリゴ・ベスプッチなんですね。


そうだ。しかしアメリゴ・ベスプッチの説は、あまり広くは知れわたらなかった。ポルトガルが東回りでインドに到着し、香辛料貿易の独占を図ったのに対し、スペインは西回りでアジアに到達する計画を進めた。先ほどパナマ運河の話をしたが、スペイン人のバルボアが、パナマ地峡を横断して大きな海を発見して、この大きな海の向こうに、アジア大陸もインドも存在するに違いないと気づいた。この大きな海は、太平洋と名付けられた。ヨーロッパ人で初めて太平洋を見たのが、このバルボアだ。


バルボアですか?


そうだ、どんぶらこ~、どんぶらこ~と大西洋からきたんだ。


違う~。


しかし、バルボアは太平洋に抜ける海峡を見つけることができなかった。ここから、探検家たちは、アメリカ大陸から太平洋に出ることができる海峡発見に没頭した。多くの探検家は、北から南から一生懸命に探した。ところが、何とも不幸なことに、アメリカ大陸は、何とも何とも南北に長すぎた。北へ行っても南へ行っても、どこをどう突破しようとしても、海峡は見つからない。アメリカ大陸は南北に長すぎる。およそ10年もの間、ものすごく熾烈な海峡探しの競争が起きた。ある人は北のほっぴょうようで難破し、ある人はインディアンに殺された。また、ある人は南アメリカの~アルゼンチンと~ウルグァイの間を流れる川、全長4800キロ、川幅220キロの大河。アプラタ川をさかのぼって、これが海峡だろうと信じ航海を続けたりもした。何しろ、ラプラタ川は、ヨーロッパでは想像もできない大河だから海峡と間違われても何の不思議もない。飛行機で上空から見ても海と間違えるくらい大きな川だ。しかし、行けども行けども、汲み上げてみる水は淡水で、ついに海水は汲み上げられなかった。


汲み上げては、淡水、汲み上げては、淡水。破れたらぬえ、破れたらぬえ。ですね。


お前~、それは落語の天災だ~。


それにしても、隠居さん、有名なアマゾン川は海峡ではないんですか?


アマゾン川は大西洋に面し、世界最大で最長のかせん、なのだが、太平洋まではつながってないんだ。バルボアがラプラタ川を発見する前に、スペインの航海者ピンソンによって発見されていた。それこそ、汲み上げては、淡水、汲み上げては、淡水だった。


天災だと思ってあきらめろではなく、淡水だと思ってあきらめろですね



お前~、だから落語の天災はもういいだろ~。


アマゾン川のほぼ全域を航行したのは、マゼラン艦隊の世界一周よりも後だ。ピサロとともに、インカ帝国の征服に参加していたスペインのオレリャーナだ


オレリャーナですか


オレリャーナはアマゾンで地元住民と激しい戦闘を繰り広げたが、その際女性戦士に攻撃されたことを記しており、これがギリシア神話の女人族アマゾネスを連想させたことから、この川にアマゾン川という名がつけられたとされている。


へ~、ギリシャ神話は、アマゾン川の由来にもなってるんですね~


そして、結局海峡を見つけたのは、マゼランだ。


~どんぶらこですか?


お前~。いうなよ~さきに~。見つけた海峡はマゼラン海峡と名付けられ、~南米大陸の~南端と~フエゴ島の間にあり、


フエゴ島の間にあり、


フエゴ島ですか?


南アメリカの南端部に位置し、ベネチアみたいな形をしたところだ


本当ですか?


それじゃ、イギリスを鏡で左右反転させたような形をしたところだ


適当ですね


マゼラン海峡は南米大陸の~南端と~フエゴ島の間にあり、太平洋と大西洋を結んでいる。20世紀になってパナマ運河が開通するまでは、交通のようしょうであった。では、このときマゼランだが、スポンサーを説得するために「私は海峡のあり場所を知っている」と断言した。はったりをかましたのだ。このポルトガル人のマゼラン。スペイン王は、マゼランにいち艦隊を与え、船5せき237人で海峡発見に向かわせた。


んん~?スペインとポルトガルが競い合ってるときに、マゼランはポルトガル人だったんですか~。ポルトガル人のスポンサーがスペイン~。こんがらがる~。どうしてですか~。


~それは、~何らかの理由でマゼランがポルトガルから離れたからだ。


んん~?気になります~。


おそらく、報酬面でポルトガルと折が合わなかったのだろう。


そもそも、さっきから話してるスポンサーってなんですか?


お前~、そんなのもわからないのか~。スポンサーってのは、航海に出るために用意してくれるものだよ。


何を用意してくれるんですか?


お前~、そんなの決まってるじゃないか。用意してくれるんだよ。~亀を。


んん~?亀ですか~。違う~。亀は浦島太郎だ~。


浦島太郎は、ずばっといえば、「楽しかったら、時間を忘れる」こういうことだ


桃太郎は?


桃太郎は、そもそもおじいさんとおばあさんなんだが、普通の人だったら、あんなにも巨大な桃を不思議がってわらないだろう。普通の人とことなることをすると大きな成果がでるというはなしだ。


鶴の恩返しは?


あれは、おじいさんとおばあさんは見たらいけないといわれてたんだろ、けどみちゃったんだ。でも鶴は何もしてなかったんだ。「お前本当に鶴の恩返しか?」と聞いたら。「ええ。さぎです」~こういう話だ。


~こぶとりじいさんは?


こぶとりじいさんは、昔あるところに少し太ったおじいさんがいました。こぶとりじいさん。


~つっこんだ方がよいのでしょうか。


マゼランは海峡発見に出たものは良かったが、しかし、行けども探せど海峡は見つからなかった。乗組員たちは「本当に海峡はあるのか」と疑心暗鬼になってきた。反抗する船長も出てきた。マゼラン自身、実は、死ぬ以上に苦しんだ。そのときの苦労は、太平洋からアジアに向かうときに、食糧がなくなって死ぬ寸前になったときよりもはるかに苦しかったと告白している。マゼランがあると断言した海峡は、本当に、あるのか、もしかすると、アメリカ大陸は、北極から南極まで、ダーッとつながっていることもありうるのではないか。もしそうだとすると、マゼランは絶対に目的達成はできない。


そうですよね。アメリカ大陸が北極から南極までつながってたら、船で横断はできませんよね。


ことは数学の存在問題だ。マゼランがあると断言した海峡は、本当はないかもしれない。存在問題だから、マゼランは死ぬ以上に苦しんだ。冬はますます寒くなり、マゼラン海峡を発見する直前、パタゴニアで冬ごもりをした。



マゼラン海峡を発見する直前、パタゴニアで冬ごもりをした。


パタゴニアですか?


マゼランが、この付近に住んでいた先住民を見て、「パタゴン」族と命名した。「パタ」はスペイン・ポルトガル語の「足」であるが、「ゴン」の意味は不明である。。


不明ですか


大きな足のパタゴン族の住む土地ということからパタゴニアという名がついた。


だからパタゴニアですか。


パタゴニアは南米のアルゼンチンにある。世界の果てと、いってもいい場所だ。それこそ、先ほどの「明日に向かって撃て」の実話の舞台で3人組の言い伝えの残る場所もある。


ボリビアじゃなかったんですか?


それは、わからない・・・


はぁ


パタゴニアは「風の大地」といわれている。気候はきびしく、2月は真夏のはずなのに10℃にも満たない気温で、夜になって風が吹くと0℃近くになる。真夏なのにだ。。太平洋からの偏西風が南米最大のアンデス山脈にぶつかって雪を降らせ氷河を流す。その風がアンデス山脈を越えると、パタゴニアの北西からの強い風となる。

聞~いてるだけで、鼻水がでそうですね~


実は、パタゴニアからほんのもう少し先まで行っていれば、この年のうちにマゼラン海峡は発見できたのである。


え、もったいないですね


もし、その年のうちに海峡が本当にあったということになれば、乗組員たちの間で、預言者マゼランのいしんは天にも昇ったに違いない。乗組員一同マゼランを信じて快く命令に従ったに違いない。パタゴニアで冬ごもりなどするものだから、海峡の存在問題は未だ解決されていない。パタゴニアで冬ごもりをしているときに反乱がおきた。マゼランは、反乱を起こした船長を死刑にして、春を待ってパタゴニアを出発した。何たる思いがけない幸福か、間もなく海峡を発見した!


思いがけない幸福ですか?


いや実は、思いがけない幸福ではない、必然なのである。そこに、海峡はあったのだから。


必然ですか?


いや、思いがけない幸福といってもよい。


どっちですか

マゼランにとっては、思いがけない幸福だ。存在問題は解決されず、海峡がそこにあるということをマゼランは知らなかったのだから。海峡があることをマゼランは未だ知らなかったから、死ぬよりつらい思いをしてパタゴニアで冬ごもりをした。海峡があることに疑心暗鬼で反乱を起こしたりするから、何人かの船員は死刑にされた。海峡が発見されたとき、存在が確証されたとき、マゼランは、天にも昇る喜びであった。勇気百倍、食糧もなくなりかけていたのに、あえて、未知の太平洋へと乗り出して行ったのであった。存在問題は、これほどまでに重要なのである。


問題の答えが見つからないから苦しんだのではなく、問題の答えが、はたして存在するのかを知らないから苦しんだのですね。答えがないのであれば、問題をとくという行為自体が無駄になりますからね。答えがあると分かっていたら苦しまないですんだのですね。


存在問題でいえば、仮に~「知恵の輪」で例えると。スペイン国王がどうやら解けるはずと見つけてきた知恵の輪の解き方をマゼランは解き方を知ってると言いい、スペイン国王から数か月分の食料を渡された。当時の航海というのはジェットコースターが嫌いな人がジェットコースターにのるというか、初めて胃カメラを飲むときというか、1度航海に出て、遠くの地まで行ったら、ほとんどは海の上、なかなか引き返せない。マゼランは何回も何回も知恵の輪の外れる箇所がないかを探したが、なかなか外れない、食料はどんどんつきていく。これは辛い。半日分の食料を残した頃に知恵の輪は外れた。知恵の輪を戻すときには、食料は残りわずか、でもこれは辛くない。外れたということは戻すこともできるから、戻すときに、手こずって食料がなくなったとしても、答えがあるという存在は知っているから辛くない。それが、解が存在するかという数学の威力なんだ。


知恵の輪は誰のたとえなんですか


ぽかぽかという人だ


大航海時代の論理は、地球は丸いとうモデル。このモデルはあったが、アメリカ大陸に海峡があるというモデルはなかった。アメリカ大陸は南北でぐるっとつながっているという可能性を取り除くことができていなかったから。海峡があるという論理はなかった。マゼランは海峡があるとハッタリをかますことで、あたかも海峡があるというモデルがあると思わせた。だからスペイン国王がスポンサーになってくれた。しかし、ハッタリだから、マゼランのこころの中にはモデルはなかった。だから海峡を見つけるまでがしんどかった。これが数学の存在問題の威力だ。


いや~、数学の存在問題について、よく分かりました。


それではいったん休憩をはさんで、次は、なぜ、ケネディーが月に行くと公約をかかげることができたかを説明する。


は~、地動説や天動説と関係しそうな話ですね~。地球を中心に太陽がまわるとか。太陽を中心に地球がまわるとか。ところで隠居さん、これからは人間の業を中心に落語を語るんですか?


いや、この落語は、YouTubeを中心にまわしていく。


参考書籍:『数学を使わない 数学の講義』小室直樹先生著