時事 ウイルスとは ~ぽかぽか対談~ 2020.3.4

こんにちは


おや、誰かと思ったら八っつぁん


隠居さんに、ウイルスについて、教えてもらいたいんですけどね~


まあまあおあがり。ニュースピックスさんが「現代の必修科目 ウイルスのはなし」と分りやすく記事を書いてあるから、それを元に説明しよう


お邪魔します


「ウイルス」という存在。一般的な風邪や、インフルエンザ、麻疹(はしか)、風疹など、誰もが一度は何かしらのウイルス性疾患を経験しているはずだ。だが、ウイルスとは何か、その正体について、例えば、石鹸で手を洗うと、なぜ予防効果があるのだろう?感染症の突発的な流行が頻発しそうな現代において、その原因となる細菌やウイルスの基礎知識は、もはや知っておかなければならない。


そうですよね。ウイルスとは何ですか?


それは難しい質問だ。「ウイルスは生物か」「それとも無生物か」という議論もあるくらいだ。ウイルスは、確かに存在する。それなのになぜ、「生物ではない」というみかたがあるのか。その答えは、ウイルスは、自分だけでは生きることができないからだ。ウイルスには細胞がない、他の細胞に入り込まないと、増えることもできない。


ウイルスは「生物ではない」というみかたがあって、他の細胞に入り込まないと、増えることもできないんですね~。


そのことを解説すると。ウイルスは、生物学上は「生物」ではないとされている。それでは、生き物ではないならば、何なのか。これは、細菌(つまりバクテリア)との違いから考えると、少しわかりやすい。ウイルスも細菌も共に、身近な病原体の代表格だ。


教えてください


大きさと、特徴と、代表例を話したいのだが、まず、ウイルスについて、大きさはインフルエンザウイルスでは、0.1ミクロンの大きさだ。特徴は「DNAまたはRNAと呼ばれる、核酸と、タンパク質で構成され、細胞を持っていない。宿主の細胞に寄生しないと自己複製できないため、生物学上は「生物」ではないとされている。」代表例がインフルエンザウイルス、エボラウイルス、コロナウイルスだ。


は~


そして、細菌だが。大きさは(オー)O157は、1~2ミクロン。特徴は「基本的に細胞壁を持つ微生物の一種で、細胞分裂で自ら増える。」大腸菌、ブドウ球菌などだ


は~、大きさは0.1ミクロンのインフルエンザウイルスと比べ、1~2ミクロンなので、細菌である(オー)O157の方が大きく。特徴は、ウイルスは宿主の細胞に寄生しないと自己複製できないが、細菌は細胞分裂で自ら増えるんですね。そして、ウイルスの代表例はインフルエンザウイルス、エボラウイルス、コロナウイルスで、細菌は大腸菌、ブドウ球菌などなんですね。


そうだ。細菌は、細胞分裂によって、自ら増えることができる。ところがウイルスは細胞を持たず、自らの力で増えることができない。動植物の細胞に寄生して、その中で増殖する。ウイルスは、飲み込む、吸い込む、虫に刺されるなどをきっかけにして、宿主の体に入り込み、細胞に侵入する。細胞の中で、自らの遺伝情報を使って、増殖に必要なタンパク質を作る。そして増殖し、やがては宿主の細胞を破壊してしまう。いわば、宿主の細胞を“間借り”する形でどんどん増えるのがウイルスの特徴だ。また、ウイルスと細菌は、構造も大きく異なる。


構造が異なるんですか


細菌は、一つの細胞で構成される単細胞生物だ。一方、ウイルスは細胞を持たないけど、遺伝情報を持つDNAまたはRNAとよばれる核酸をタンパク質でくるむような構造をしている。これが基本だ。ウイルスの中には、さらに外側を、脂質を含む膜(エンベロープ)で覆ったものもある。この膜は、ウイルスが細胞の中に入り込む時に、大事な役割を果たしている。膜がなくなると、ウイルスは細胞の中に入り込むことができず、感染力が低下する。そして、膜は石鹸に弱いため、膜を持つウイルスは、石鹸による手洗い予防が推奨されているというわけだ。インフルエンザウイルスは、この膜を持つウイルスの一つだ。


脂質を含む膜、つまり、あぶらだから、ウイルスには石鹸が有効なんですね


なお、このウイルスが細胞の中に入り込む特徴を応用して、遺伝子治療の分野では、細胞の中に特定の遺伝子を送り込むためのベクター、つまり運び屋として、ウイルスを利用する研究も進んでいる。


ウイルスの有効活用の可能性があるんですね


それでは、ウイルスとどう戦うか。ヒトはもともと、体の中に入ってきた異物を押し出す力を持っている。これが「免疫」だ。ウイルスという異物に対して、血液中の成分である「リンパ球」や、血液や組織液中にある「免疫グロブリン」、つまり抗体と呼ばれるタンパク質たちが、協力してウイルスを押し出す。ウイルス感染症の治療には、「抗ウイルス薬」を使う場合もある。しかし、ごまんと存在するウイルスに対して、抗ウイルス薬が開発されているウイルスは、ほんのわずかだ。


抗ウイルス薬が開発されているウイルスは、ほんのわずかなんですね


ウイルスは人の細胞の中に入り込む、だから薬を作ろうとすると、人の細胞まで壊してしまう。つまり、非常に強い副作用が出てしまう。そのため開発が難しかった。しかし研究が進み、ウイルスのどこを破壊すれば細胞を壊さずに済むのかわかるようになってきた。こうして抗ウイルス薬の開発が進んだ。研究にはずみをつけたのは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が引き起こすAIDS(後天性免疫不全症候群 )の治療薬開発だ。人類に対する脅威として、抗ウイルス薬の開発は、HIVを機に飛躍的に進んだ。


抗ウイルス薬の開発は、HIVを機に進んだんですね


そうだ。解説すると、ヒトはウイルスや細菌などの病原菌が体内に侵入した時、もともと体に備える「免疫」の力で、これと戦うことができる。一般的な風邪のウイルスなどは、自分の体の免疫の力で治すことが多い。免疫の仕組みは非常に複雑で難しいが、その働きの一部を、もう少し具体的に見てみよう。


お願いします。


ウイルスや細菌などの病原体が体に入ってくると、まず、普段からこうした侵入者が入ってこないかどうか体内を巡回している見張り人が登場する。

「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞だ。駆けつけて、ウイルスをむしゃむしゃと食べるように破壊する。このマクロファージなどは、元々備わっている「自然免疫」と呼ばれる。


体内を巡回している免疫細胞が、ウイルスを食べるように破壊するんですね。これが「自然免疫」なんですね。


次に、マクロファージは小さくなった病原体の成分に抗原と呼ばれる目印をつけて、これをやっつけるようにと、他の免疫細胞に知らせる。知らせを受け取るのは、「ヘルパーT細胞」と呼ばれる司令塔だ。病原体の活動をおさえこむ抗体を作るように、抗体づくりの“職人”に司令を出す。この職人が「B細胞」だ。B細胞が作った抗体が、免疫ブロブリンとして、再び病原体を攻撃していく。こうして得た免疫を、「獲得免疫」とか「適応免疫」と呼んだりする。一度作られた「抗体」の記憶は細胞の中に残り、同じ病原体が入ってきた時には、すぐに戦うことができるように備える。ただし、病原体によっては、体が回復した後に、抗体が消えてしまうものもある


つまり、マクロファージがウイルスを食べて目印をつける、これが敵だと、知らせを受けた、司令塔のヘルパーT細胞が、抗体づくりの職人B細胞に司令を出すんですね。できた抗体が免疫ブロブリンとして、ウイルスを攻撃するのですね。


そうだ。一方、体内の免疫では対処しきれないウイルス感染症の場合は、「抗ウイルス薬」を使う。抗ウイルス薬研究を大きく前に進めたのは、HIVと戦う「抗HIV薬」の開発が大きく貢献したと言われている。ウイルスが細胞の中に入り込み、その中で増殖し、やがて細胞から飛び出していくまでの、様々な過程を阻害する薬が開発されてゆく。こうして抗ウイルス薬の研究が進んだことで、「タミフル」や「リレンザ」などのインフルエンザ治療薬や、B型肝炎ウイルスの治療薬などの製品化が進んだ。ただ、いまだ「抗ウイルス薬」の開発は難易度が高い。ウイルスの種類は分かっているだけでも万単位に及ぶ。その中で、特化した治療薬があるウイルスは、わずか10や20程度と言われる。


抗ウイルス薬の開発は難しいんですね


治療薬の研究のためには、ウイルスそのものが必要だ。ウイルスの中には、人工的に増やしやすいものと、増やしにくいものがある。人工的に増やすことが難しいウイルスの病気は、研究を難しくするので、治療薬の開発も難しい。その一例が、C型肝炎だ。C型肝炎ウイルスも、人工的に増やすのは難しいとされてきた。しかし、現在では人工的に増やす方法を開発し、C型肝炎の治療薬開発は、大きく前進している。


そうなんですね。


C型肝炎は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされる。肝がんの原因にもなる病気で、治療が難しいとされてきた。だが、特効薬が相次いで登場し、撲滅が近づいているとの見方もある。こうして抗ウイルス薬の研究は歩みを続けているものの、特効薬が存在しないウイルスは数多く残っている。その一つが、コロナウイルスだ。この度の「新型コロナウイルス」については、既存の治療薬の活用も検討されている。「抗HIV薬が有効」とタイ政府が発表したのは記憶に新しい、しかし確固たる効果が示されたわけではまだない。SARSでも使われたので、今回も試しに使っているというフェーズだ。そのほか、エボラ出血熱の治療薬や、新型インフルエンザの治療薬などを利用する研究がもっか、進んでいる。


そうですか


そして、これまでは抗ウイルス薬の話だが、ワクチンとはどう違うのか。ワクチンについては。病原体の中から、弱毒化したもの、不活化して無毒化したもの、あるいは病原体の一部のみを取り出して人に投与すると、実に不思議なことが起こる。体は、病原体が侵入したと思いこんで、免疫反応が起きる。それによって抗体ができ、身体の中に「獲得免疫」が得られると、実際に本物の病原体が侵入してきた時に、戦うことがでる。これがワクチンだ。水疱瘡(みずぼうそう)や子宮頸がん、最近ではエボラ出血熱のワクチンが開発されている。しかし、ワクチン開発もまた時間がかかる難しいもので、短期間でできるようなものではない。


ワクチン開発も短期間でできるようなものではないですね


ワクチンについて解説すると、ウイルスや細菌の毒性や感染力を弱めたり、感染力を完全になくしたりして、ワクチンを作る。

そして、ワクチンを接種すると、体内の免疫が反応して、ウイルスと戦う抗体やリンパ球が作られ、ワクチンを敵として記憶する。

そして、実際にウイルスが侵入すると、抗体やリンパ球が反応して攻撃する。または、ウイルスの活発化を防ぐことで、重症化を防ぐ。


そうですか。ウイルスや細菌の毒性や感染力を弱めたり、感染力を完全になくしたワクチンを、接種することで、体内の免疫が反応して、ウイルスと戦う抗体やリンパ球が作られ、ワクチンを敵として記憶するんですね。そして、ウイルスが侵入すると、抗体やリンパ球が反応して攻撃するんですね。


そうだ。ワクチンとは、抗体を作って攻撃をする免疫のプロセスを「人工的に再現」することで、いざウイルスが体に侵入した時に、重症化を防いだり、発症しにくくするためのものだ。世界で初めてのワクチンは、ナポレオンの頃に、フランスではなく、イギリスの医学者、エドワード・ジェンナーが開発した、「てんねんとう」のワクチン。このようにワクチンの歴史は意外と古い。ただ、ウイルスを弱めたり、毒性をなくしたりしてワクチンを作り、動物実験、ヒトを対象にした臨床試験を経て、製品化するまでには、どうしても長い時間がかかる。だから残念ながら、新型コロナウイルスに対応するワクチンについても、まだ開発されていない。既に世界中の研究機関や製薬会社が開発を開始しており、今後の動向が注目される。


わかりました。


参考文献:

https://newspicks.com/news/4681922/body/?ref=user_542408