アメリカ大使館人質事件
イランが米国大使館員を人質にとった。
重大な国際法違反である。
イラン政府は事実上黙認することによって、
その法的責任を自らに引き受けた。
国際社会に空前の無責任国家が出現してしまった。
米国としては、方策は二つしかなかった。
一つは、武力行使により人質を解放すること。
実際に行なってみたが、失敗した。
もう一つの方策は、
責任ある中央政府がないのであれば、
少し時間をかけて、
曲がりなりにも
責任のある当局が形成されるまで待つこと。
結局これで解決した。
これにおける最大の教訓は何か。
国際紛争を長期にわたり、
未解決のまま放置しておくと、
国際社会は、
いわば自家中毒を起こす。
国際社会に広く法的不安定の
病的な雰囲気が蔓延する。
『国民のための戦争と平和』小室直樹 大先生