ソレイマニ暗殺
■イラン革命防衛隊の司令官、
米軍の空爆で死亡
バグダッド到着後
(2020.01.03 BBCニュース)
イラン革命防衛隊の
精鋭部隊
「コッズ部隊」の
トップ、
カセム・ソレイマニ司令官が3日、
イラク・バグダッドで
米軍の空爆によって死亡した。
イランが支持する
イラクの民兵組織と共に
車両でバグダッド国際空港を
出ようとしたところ、
貨物ターミナルの近くで、
アメリカ軍の
ドローン空爆を受けた。
イランの反応。
「ソレイマニ将軍を標的にして
暗殺したアメリカの行為は国際テロだ。
https://www.bbc.com/japanese/50980333
■米、
イラン精鋭司令官を殺害
トランプ氏が指示、
ヘリで攻撃。
(2020.01.03 共同通信)
■イラン司令官殺害は
「戦争止めるため」
とトランプ氏
イランは
「厳しい復讐」誓う
(2020.01.04 BBCニュース)
ドナルド・トランプ米大統領は
「戦争を始めるためでなく、
止めるため」
と述べた。
4日未明にバグダッドで、
ソレイマニ司令官や
同じ空爆で死亡した
イラク人たちの葬列が始まった。
イラクの旗を振りながら
「アメリカに死を!」
と叫ぶ人たちが、
棺を載せた車に続いた。
トランプ氏は、
「合衆国の軍は、
世界随一のテロリストを
殺害した
空爆を完璧な精度で
実行した」
「ソレイマニは
アメリカの外交官や
軍関係者に対する
邪悪な攻撃を
間もなく実施しようとしていた。
しかし我々は、
現行犯でそれを押さえ、
あの男を終了させた」
「(ソレイマニの)
恐怖の
支配は終わった」
と表明。
イランの最高指導者
アリ・ハメネイ師、
「神のもとへと旅立っても、
彼の道や使命は終わらない。
しかし、
彼の血、
そして彼と共に
昨夜殉教した者たちの
血で手を汚した
犯罪者たちには、
厳しい復讐が待ち受けている」
と表明。
イラクの
アデル・アブドルマハディ首相。
米軍が首都バグダッドで
ソレイマニ司令官を
殺害したことに、
「イラクの主権を傲慢に侵害し、
国の尊厳をあからさまに攻撃した」
と非難。
ソレイマニ少将は
イランで、
最高指導者ハメネイ師に
次ぐ2番目の実力者とみられ、
国民的英雄として扱われていた。
イラン革命防衛隊の
中でも国外での
秘密作戦を扱う
「コッズ部隊」。
1998年以来率いた
ハメネイ師の直属。
司令官がコッズ部隊を
指揮した21年の間に、
イランは
レバノンで
ヒズボラなど
親イラン武装組織を支援。
イラクやシリアでの
軍事的影響力を拡大。
シリア内戦における
アサド政権の戦略、
イラク国内の戦闘や
過激派勢力
「イスラム国(IS)」との戦い
など、
中東における数々の
戦線を組み立てているのは、
ソレイマニ司令官だと
考えられていた。
イラン政府は
コッズ部隊が、
シリア内戦において
アサド政権に忠誠を誓う部隊
の軍事顧問を務めるほか、
シリア政府軍と
共に戦うシーア派
武装勢力に武器を提供したことを
認めている。
イラン報道官は、
「アメリカと
シオニスト(イスラエル)の
歓喜は長続きせず、
悲嘆に変わる」と警告。
イスラエルについては、
複数のイラン政府関係者が
空爆に関与したと
非難を強めている。
https://www.bbc.com/japanese/50990788
※動画
■米軍、
中東に3千人増派へ
イランは「報復」警告。
(2020.01.04 共同通信)
■イラン、
中東の米施設を報復対象に
イスラエル都市も。
(2020.01.04 日本経済新聞)
■イラク
米軍使用基地や
米大使館付近に
ロケット弾撃ち込まれる。
(2020.01.04 NHKニュース)
■トランプ大統領、
イラクへの制裁警告
イランには大規模報復も。
(2020.01.06 Bloomberg)
■イラン
米軍に弾道ミサイル
革命防衛隊
“司令官殺害の報復”。
(2020.01.08 NHKニュース)
私のコメント:
開戦。どこで手打ちとなるのか。
【追記】
イランの
ザリーフ外相は
ツイッターに投稿、
攻撃が終わったことを
明らかにしたうえで、
「イランは
国連憲章にのっとり、
わが国の市民や
政府高官に対する
卑劣な攻撃の
拠点となった基地を
ねらって
自己防衛のための
措置を取った」
と主張、
攻撃を正当化。
「緊張の激化や
戦争は望んでいないが、
あらゆる
攻撃に対して
自衛の措置を取る」
アメリカの
トランプ大統領は7日、
ツイッターに
「すべて順調だ。
イランから
イラクにある
2か所の基地に
ミサイルが発射された。
いま被害の
状況を確認している。
今のところ非常によい」
と投稿。
「アメリカは
世界最強で
しっかり装備された
軍事力を保有している。
あすのあさ、
声明を発表する」
として、
8日朝、
日本時間の今夜に
何らかの声明を
出すと明らかにし、
アメリカの出方が焦点。
イラクからの撤収相次ぐ
NATOやカナダ軍。
(2020.01.08 時事通信社)
■イランで
ウクライナ機が
離陸直後墜落、
エンジン故障か
176人死亡。
(2020.01.08 Reuters)
■トランプ大統領
イランへの
反撃言及せず
事態悪化避けたい姿勢。
(2020.01.09 NHKニュース)
■ウクライナ機事故、
イラン軍が誤射か
ミサイルで撃墜の可能性。
(2020.01.10 Reuters)
私のコメント:
自分の国の玄関口を
6分前に飛び立った民間機。
イラン、
ウクライナに謝罪
旅客機撃墜めぐり、
首脳が電話会談。
(2020.01.10 時事ドットコム)
補足1:
2019.06.27 NewsPicks編集部
3分解説 「イラン問題」の核心
イランには
国軍と
革命防衛隊の
二つの軍隊がある。
(なお、
最高指導者が絶対権力、
大統領は行政の長。)
イランの
パーレビ朝は
中東で最も米国と
良好な関係であった。
国王は
米国の支援を受け
女性参政権などの改革や
イスラエルとの
国交樹立などを推進。
しかし
1979年1月王朝を
「米国の傀儡」と
批判する
宗教保守勢力を
中心に革命が起き、
「イラン・イスラム共和制国家」
が誕生。
同年、
首都テヘランにある
米国大使館人質事件が
発生するがイランは
黙認し関係が悪化。
経済制裁を発動。
1980年4月7日国交を断絶。
王朝のイラン国軍を
引き継いだが、
革命政府とは
元々敵対しているので
士気がない。
そこへ付け入った
イラクのフセインが
イランへ侵攻。
1980年9月22日イラン・イラク戦争。
その際に
イラクと戦闘したのが
1979年5月に創設された
「イラン革命防衛隊」。
2007年8月、
ブッシュ政権が
革命防衛隊を
「テロ組織」に指定するか
検討中と
『ワシントン・ポスト』
が報じた。
オバマ政権の際に
IS戦闘のため
利用したのが
「イラン革命防衛隊」、
それと引き換えに
結んだのが
2015年7月「イラン核合意」。
核兵器に転用できる
高濃縮ウランや
兵器級プルトニウムを
15年間は生産しないことや、
遠心分離機の
大幅削減も盛り込まれた。
だが、
制限付きでも核開発が継続できることや、
弾道ミサイル開発の
制限が盛り込まれておらず、
(オバマ大統領は
イランの核兵器開発を
黙認ともとれる内容)
トランプ米大統領が
「致命的な欠陥がある」
と非難。
2018年5月に
核合意を離脱、
イランへの制裁を再開。
ISとの戦闘に
米軍の関与拡大。
IS戦闘に
「イラン革命防衛隊」
を利用したのに、
大統領が変わると
合意が反故になるのかと
関係が悪化。
2019年4月に
トランプ政権が
「イラン革命防衛隊」を
テロ組織指定。
イランが、
2019年5月に
核合意の
一部履行停止を宣言。
2019年10月米軍の強襲で
IS指導者
バグダディ容疑者死亡。
補足2:
新年早々の1月3日、
米国はイラン革命防衛隊の
ソレイマニ司令官を
殺害した。
それに対し、
イラン側は報復を表明。
もともとトランプ大統領は
イランに対して強気でなく、
実際、
昨年6月には
イランへの空爆を
実行直前に中止。
空爆を実行すれば、
イラン側に150人の
死者が出るとの
報告を受けたからだ。
米国側は無人機による
攻撃で死者は出ないのに対して、
イラン側に多数の死者が
出るのはアンバランス過ぎる、
との判断が働いた。
その空爆中止が結果として、
昨年9月の
イランによる
サウジアラビア石油基地
への攻撃に
つながったといわれている。
もっとも、
この攻撃でも死者は出ていない。
トランプ大統領が
態度を一変させたのは、
昨年12月27日、
イランが支援するとされる
武装勢力の攻撃によって
米民間人1人が死亡し、
米兵4人が負傷したからだ。
これを受けて、
トランプ大統領は
ソレイマニ司令官の
殺害計画策定を
即座に指示した
と報道されている。
つまり、
トランプ大統領にとっては
「米国人の生死」
がレッドライン。
きわめて
シンプルな
ラインの引き方。
昨年6月の空爆停止、
9月のサウジアラビア石油基地への
攻撃に報復しなかったこととも。
「米国民を守るため」という説明も、
すっきりとつじつまが合う。
イランにとっては
ソレイマニ司令官は
国民的英雄なので、
報復しないと
政府は国民に示しがつかない。
イランは2月に
議会選挙を控える。
保守派は、
ロウハニ大統領ら
国際協調主義の
穏健派を押さえ込みたいと
考えているが、
今回の
ソレイマニ司令官殺害と
それへの報復は、
保守派にとって追い風になる。
クリントン元大統領は、
弾劾訴追の最中であった
1998年12月に
イラクへの空爆を行っている。
国民の目をそらすためである。
クリントン氏は、
1994年6月にも
北朝鮮への先制攻撃を
検討しその一歩手前まで
行っている。
「トランプ大統領は
民間人出身なので
戦争はできない」
という楽観的な観測もあるが。
今回の
ソレイマニ司令官殺害を見ると、
レッドラインを超えれば
実力行使も辞さないということ。
トランプ大統領は
「52カ所の攻撃目標を定めた」と
ツイートしている
52の根拠については、
「1979年の
イランアメリカ大使館人質事件で
52人の米国人が人質になったから」
だと明らかにしている。
52はトランプの札の
枚数でもあり、
「いかなる札も用意している」
という意味が込められているとみている。
オバマ政権の中東政策を
弱腰と非難できるうえ、
米国経済は石油価格が
上がってもダメージがない。
イランのほうも引けない。
イランは、
イラク、
シリア、
レバノンなどの
周辺国に
影響力を行使できるので、
さしあたりイラク国内で、
米国人や
米国軍人に脅威を与える
ことができる。
イラクの
米大使館近くへの
ロケット弾着弾は、
その兆候でもある。
(2020.01.06 高橋洋一先生)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69625